日本ホリスティック教育協会のサイトの「理念」より
日本ホリスティック教育協会のサイトの「理念」より ~ ホリスティック特集14 2018/11/22
ホリスティック教育は、
昨日ご紹介したジョン・ミラーによって最初に提唱され、
我が国では日本ホリスティック医学協会設立からほぼ10年たった
1996年に、設立されました。
設立20周年を機に、それまでの会員制の組織から2017年、
ホリスティックな教育の活動をつなげるネットワーク型のものに移行し、研究活動は「日本ホリスティック教育/ケア学会」が担ってます。
そのサイトには、「理念」をしっかりと書かれたページがありました。
今日は、そこからご紹介させていただきます。
https://www.holistic-edu.org/blank-1
「・・・いま、
いじめ、登校拒否、校内暴力、非行、体罰、無気力、自殺など、
教育の中で深刻なさまざまな問題が出てきているが、
政界財界の腐敗、若者の自己疎外、犯罪、テロ、
家庭の崩壊などもすべて教育の問題と深く関わりあっています。
これは、大人たち自身の生き方の問題であるとともに、
さらに深い現代文明の危機のあらわれなのです。
わたしたちは、経済発展や生産性の向上を第一の目的とし、
物質的な豊かさばかりを追い求め、
人間性を育てることをおろそかにしてきました。
・・・その結果、大気汚染、海洋汚染など、
地球規模での自然破壊が進み、病んだ生態系を生み出しています。
そのため、本来人間を幸せにするはずの科学技術の発展が、
人類と地球の破滅を招くという皮肉な結末を迎えようとしています。
このように、病んだ教育と病んだ生態系
―その根源は、同じところにあります。
それは、人間性やこころを見失った、
この現代文明そのものの危機なのです。
このような文明の危機を迎えたいま、わたしたちは、
人類史的な転換期に立つっています。
この危機は、
現代文明を支えてきた世界観・人間観・教育観をそのままにして、
技術的に解決できるものではありません。
人間や教育をみる見方・考え方そのものを
転換しなければなりません。
混迷の状態にあるわたしたちにとって、
今ほど、新しい教育の理念、新しい教育の方向性が
求められる時はありません。
しかし同時に、
いまだ出会っていない日本中の多くの人たちが、
同じような新しい方向へ向けてすでに歩みはじめているのです。
わたしたちはいま、
現代日本の教育の危機を乗り越える方向性を
広く共有できるつながりを求めて、
ここにホリスティクな教育理念を提唱します。
教師も親も、
もうお互いに批判しあうのはやめようではありませんか。
よりよい生き方、よりよい教育を願う気持ちは、
みんな同じなのです。
すべての人が、いま、
自分の立場で何ができるか、という発想を持ち、
行動を起こす必要があります。
わたしたちは、いまこそ、ともに手をたずさえ、
創造的な活動を展開していこうではありませんか」
この「ホリスティック特集」で私が最初から書き続けてきたことは、
現在日本で起きている「ホリスティック」ブームに、
「ホリスティック」が本来担うべき理念をおろそかにしているような
何とはなしの違和感を感じて、それを気張らずに
素直に表現しようとしてみた結果でしたが、
ここに書かれていることを読んで、
やっと安心できたところがあります。
まずは私たちを包み込む大きな全体である、
地球~人類の状況に対する強い危機感があることです。
そして、それが私たちの意識によって生み出されていることへの
深い反省です。
その同じ意識が、教育の様々な問題を生み出し、
また教育以外のところでも様々な問題を生み出し、
それらが地球~人類の様々な問題につながっていることの洞察です。
教育の問題は、あらゆる問題とつながり、
小宇宙の問題は大宇宙の問題は相互に関係しあっていて、
お互いがお互いの反映とも言えます。
これらの問題を解決するためには、
「人間や教育をみる見方・考え方そのものを
転換しなければなりません。」
そのように切羽詰まった状況を打開する解決策が、
「ホリスティックな見方」への転換なのです。
ここには、スマッツが「ホーリズム」という概念を着想したときに
抱いた問題意識が共有されているように感じます。
ホリスティックとは、このように、個の危機を救うとともに、
全体の危機を救うために生み出された概念であるはずです。
「ホリスティック」という言葉を使う人たちはすべからく、
そのような危機感を抱き、最後に書かれているように、
その危機を乗り越えるために、
手を携えて働く人たちであって欲しいものです。
最後の言葉を、再掲させていただきます。
「すべての人が、いま、
自分の立場で何ができるか、という発想を持ち、
行動を起こす必要があります。
わたしたちは、いまこそ、ともに手をたずさえ、
創造的な活動を展開していこうではありませんか」