(報告)【7/27】インテグラル理論と教育

このシリーズ、7月27日に行われた第1回目に関して、

講師の後藤洋平さんが、その時にお伝えいただいた内容を、

下記のようにレポートしてくださいました。

 

インテグラル理論に関する日本の第1人者、

鈴木規夫さんも来られて、

秘教も絡めた議論に加わっていただいており、

終了後の懇親会(飲み会)も含め、

とても楽しく充実した贅沢な時間でした。

次回、8月24日(土)18:30~です。

(今回も多分)終了後の懇親会、やると思います。

 

2回目からでもそれほど問題ないと思いますので、

ぜひ、奮ってのご参加をお待ちしてます。

 

 

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(後藤洋平さん)

 

 

先日の「インテグラル理論と教育」の講座で

お伝えしたかったことはとてもシンプルなことだった。

 

教育を統合的に捉えるということは、

より人間的で、全体的な生き方を可能にする

という前提がまず僕のなかにある。

 

では、統合的な教育とは何か?

インテグラル理論の言葉を用いて説明すれば、

それは、「全領域」「全レベル」「全ライン」において

人間の成長を可能にするものであると要約することができる。

 

 

1.「全領域」における成長

それは、「社会的」「政治的」「経済的」な主体として、

個人が健全な成長を遂げることである。

 

人間世界を構成する「社会」「政治」「経済」の3つのサブシステムは、

その運用にあたって以下のような能力を個人に要求する。

 

社会システム:各人が精神的な自由を実感できる場を創出すること
政治システム:みんなにとっての「善」を探求すること
経済システム:物質的な豊かさを追い求めること

 

現在の教育システムは、

何よりもまず個人を経済的な主体として考え、

社会システムにおいて精神的・情緒的な能力を育むことや、

政治システムにおいて共同体を維持・発展させていこうとする

意欲・能力を育むことは等閑にされてしまう傾向がある。

 

だから、この歪みを正し、

3つの領域すべてにおいて健全な成長を実現する

教育の在り方を模索しなければならない。

 

 

2.「全レベル」における成長

『ティール組織』が流行しているが、

ひとつ注意しておきたいことがある。

 

「ティール」という高次の発達段階のコンテンツを

ただ単に消費しているだけでは、

健全な成長とはいえないということだ。

 

人間には、不可逆的に展開する発達のレベルがあり、

すべてのレベルが健全な形で積みあがってこそ、

高次のレベルへの発達は意味を持つことになる。

 

したがって、低次の段階における発達課題を

スキップして高次の段階に行くことは原理的にできないし、

下から積み上げることなしに高次の発達課題に取り組んだ場合には、

必ず痛い目をみることになる。

 

健全な発達を遂げているかどうかを判断するには、

各発達段階が要求する発達課題を

すべてクリアできているかどうかを確認することが有効である。

 

以下に、そのチェックリストを示す

(「積み上がる」イメージでそれが捉えられるように、

高次の段階から順に記す)。

 

ティール:自分を超えた世界そのものの進化にコミットしているか
グリーン:多様性が考慮されているか
オレンジ:普遍的・合理的な判断はできているか
アンバー:伝統に対するリスペクトはあるか
レッド:発言・行動が身体性に根差しているか

 

現在の日本では、

レッド、アンバー、オレンジ、グリーンのそれぞれの段階の価値が、

どちらかというと不健全な形で発露しているように思う。

 

各段階の健全化を図ることが大切であり、

そのためには意識の重層性に目が開かれた教育を

構想する必要がある。

 

 

3.「全ライン」における成長

人間の能力は多様であり、

ひとつの物差しで測ることは到底不可能である。

 

この一言で、この問題の本質は十分語り尽くせるだろう。

「全ライン」における成長とは、

複数の物差しを用意することによって

個別化された教育を実現することで達せられるだろう。

 

また、複数のラインを横断して学びに取り組むことで、

より効果的に成長を促進することができるだろう。

 

以上が、僕が教育を考える上で

つねに念頭に置いているフレームワークである。

 

 

(神尾・注:第1回目では、ラインは触れただけでしたので、

参加者の顔ぶれを見ながら必要な範囲で、復習をいれつつ、

「ライン」から、対話を交え丁寧に語ってくださると思います。)

 

●インテグラル理論と教育

2019年8月24日(土)18:30~21:00 ※次回9月7日予定

参加費 5,000円

定員 15名

講師 後藤友洋

★4回シリーズの第二回目。

インテグラル理論の基礎を学びたい方を対象に、インテグラル理論の基本コンセプトをご紹介して、日常の実践に活かすためのヒントを提供します。

https://www.holisticspace-aquarius.com/2019/05/27/20190727integral/

 

 

 

★関連して、鈴木規夫さんに、

9月末に以下の基礎編・1日講座をやっていただき、

その先、11月から中級編をやっていただく予定にしております。

アクエリアスは、インテグラル理論においても、

本格的な学びができる場にして行きたいと思っていますので、

ぜひ、奮ってご参加ください。

 

●インテグラル理論初級講座

2019年9月29日(日)

13:30~18:30 講座 8,000円

18:30~21:00 懇親会 3,000円

定員 20名

講師 鈴木規夫

https://www.holisticspace-aquarius.com/2019/06/28/20190929integral/

※この後、11月~4月(全6回)のインテグラル理論中級講座を開催


8/24「第2回インテグラル理論と教育」参加レポート

 

「今ココ」を感じる、ヨガやマインドフルネスなどのように、

私が行っているセラピーは

自分の五感を使って「今の自分の状態(体と心と意識)」を知るための手段でもあるわけですが、

 

インテグラル理論でたくさんの視点について学ぶことで、

「今の自分(の成長段階)」を知ることができます。

 

良いとか悪いではないものの考え方、

相手の立場に立った物事の見方、

全体的なものごとの捉え方など、

それらを知ること、併せることで見える景色が変わってきます。

 

現状を冷静で客観的に、また総合的に見る感覚が養われると

「今の自分」や「クライアント」に対する捉え方も変わってくるのかもしれません。

 

次回は9/7。

教育を提供する側の「成長」について。

教師、コーチやファシリテーター、セラピストなど、他者の成長支援に関わっている方々が、どのように自身の専門性を深めていけばよいかというテーマです。